2016/08/20

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概要
相変わらず文章術系の本を読み耽ってますが、
タイトルで<不良のため>と謳っているように、今まで読んできた文章術系の本とは一線を画す1冊でした。
美しく正しい日本語は良い子のもの。不良は自己表現という考えを捨て、読者を楽しませることに徹します。むずかしい思想書を若者向け雑誌でわかりやすく紹介する方法、B級グルメ記事のコツ、人の悪口をおもしろく書く手法…売れっ子ライターが、苦節二十年の経験をふまえ、四百~千二百字程度の、切れ味のいい文章の書き方を伝授します。
(Amazonより引用)
ポイント
この本がどういった本かというのは冒頭から30pまででだいたい分かります。
プロの文章とは
なぜ文章を書きたいのかと問われて、「自分を表現したいから」「自己実現のため」という人は、プロの書き手になるのはやめてください。
読者が(それ以前に編集者が)迷惑します。誰もあなたのちっぽけな「自分」、ありもしない「ほんとうの自分」なんか読みたくありません。関心もない。
自分を表現したいという人は、誰にも迷惑をかけないように、こっそりと日記でもつけて、時々自分だけで読んでください。
プロの文章は読者のためにあります。
読者ができないことを書き手が代行し、読者に満足を与える文章です。
ただし、これは読者に媚びへつらい、おもねり、すり寄り、慰撫する文章を書けという意味ではありません。読者を苛立たせ、不快にし、立腹させる文章もプロの文章です。
(とここまで書いてきて、ひとつ隠し事をしていたのを正直に言わなければ言わなければなりません。私、齋藤孝の『声に出して読みたい日本語』と小川義男の『あらすじで読む日本の名著』が大嫌いです。とくに後者については史上最低のクズ本だと思っております。この二冊について、いつかイヤミをいってやりたいとヨコシマな心を抱いていました。)
とまぁ、この調子です。
無理な人は3分の1も読まずに本を閉じてしまうかもしれません。
私は嫌いじゃないです、このノリ。
(プロの書き手ではないですが)ブログなど、特にWeb上ではとってつけたような文章をよく目にするので、少し辟易してましたし。
誰に向けて書くのか
誰に向けて書くのかによって、テーマ、使う言葉、使う文字、文体、センテンスの長さ、句読点の打ちかた、改行のしかたなどが決まります。
ここまでやるのかと少しびっくりしました。
プロの書き手になるには単なる文章力だけでなく、幅も必要なんですね。
文体について
整っているものよりも破綻したものの方がインパクトがあります。初心者には、あえて文体を破壊することをおすすめします。学校の作文の時間だったら、減点だらけの文章の方が、プロの文章としてはよろしい。
(中略)
美しい文章よりも、できるだけ醜い文章を書くことです。美しい文章よりも醜い文章の方がインパクトがあります。
プロの文章はウケてナンボ、驚かせてナンボです。「アイツは下品だ」「アイツは文章がへたくそだ」「アイツの文章はヘドが出る」と後ろ指さされてこそプロ。「いい文章を書くね」とか「整った文体だ」とか「しっかりした文体だ」というほめ言葉には、そのあと「・・・・・でもおもしろくないんだよね」と続いていると思った方がいい。
そこまで言うか(苦笑)
ただ、勘違いしてはいけないのが著者が例文として掲載している文章がそこまでパンキッシュな文章かというとそんなことはありません。
しっかりした文章力が土台としてあることが前提で、全くの初心者がこの言葉を真に受けてしまうのは少し危険な気もします。
文体が破綻していても、論理的に無茶苦茶な文章ではやっぱりダメでしょう。
まとめ
(わざわざ書かなくても分かるかと思いますが)ビジネス文書に役に立つ内容ではありません。
雑誌やWeb上のメディアで文章を書く人向けです。
具体的に本書で書き方が紹介されているのは「本の紹介文の書き方」「グルメレポ」「コラム・エッセイ」などの文章についてです。
改めて勉強になったのは「大人として恥ずかしくない文章を書けるようにならないと」という思いが漠然とありましたが、それはビジネス文書やきちっとした文章が必要な場所に限ってのことであって<何について><何処に><誰に向けて>書くのかによって求められる文章も変わってくるということ。
それを明確にせず、いつでも何処でもただ「きっちりとした文章を書かないと」という思い込みは完全に書き手(自分)目線のひとりよがりなのかもしれません。
場合によっては読者が面白いと感じるのはそういう文章ではなく、インパクトのある文章なんですね。
書いてお金をもらえる仕事って良いな、と最近思っていたのでプロのライターの文章や仕事について知ることができ、読みモノとしても非常に面白かったです。
<余談>
最後にWikiペディアで著者(永江朗)について興味深い記載があったので載せておきます。
2001年には、文芸評論家福田和也の『作家の値うち』に示唆され、同時代の44人の批評家を論じた読み物『批評の事情』を足したが、批評家・山形浩生に周到に反論された。石原慎太郎、小林よしのりら保守系の文化人や、保守派の政治家を嫌い、痛烈に罵倒しているが、福田和也に対する正面からの批判は避けている。
(wikiぺディアより)
批評するって賢くないとなかなかできないですよね。
そうでない人が書くとただの悪口になってしまいますから。
あとセンスもね。。
コメント
[…] 文体は破綻している方が良い。 いわゆる文章術系の本とは一線を画す1冊。 (記事はこちら) […]
by 今月は11冊でした!【読書まとめ】10月に読んだ本 | STAY FREE 2015年11月4日 23:51