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【読書】反論が苦手な人の議論トレーニング – 吉岡友治 –

time 2015/12/12

【読書】反論が苦手な人の議論トレーニング – 吉岡友治 –

 

概要

空気を読んだつもりになって、議論の流れに任せて意見を言わなかった経験ありませんか?反論やツッコミが苦手で、他人の意見に乗っかってしまい後悔する。議論が間違った方向に進んでいるのに、それを変えることができない。そんなタイプの人に向けて、その場の雰囲気を壊さずに、モノ言うために「問題の仕組みを明らかにする」「議論へのツッコミをいれる」「相反する意見をまとめて、よりよい解決を提示する」といった三つの技法を伝授する。これからの社会人に求められる本当のコミュニケーション!

(Amazonより引用)

ポイント

論旨の一貫性を確認する

車に乗ってる時は「歩道走れよバカ」と思い、徒歩の時は「車道走れよクズ」と思い、自転車に乗ってる時は「俺は風」と思う。

ツイッターで見かけたジョークの一例。
ここでは自分の立場がころころ変わっている。
車に乗ると車道を走る自転車は邪魔、歩いていると歩道を走る自転車は危ない、自分が自転車に乗ると気持ちいい。
そのときどきで、自分の都合の良いように論旨が変わる。

意味のない議論は相手にしない

■まず話されている話題(=何について)が共通かどうかをチェックする
実際、原発の是非の問題では、学者が発言すると「御用学者かどうか」がまず話題となるという奇妙な現象が出てきた。「放射能の影響は少ない」と主張すると、即座に政府に都合の良い主張をする「曲学阿世の輩」として否定され、反対に「放射能の影響は大きい」と主張する学者は「良心的で素晴らしい学者」として歓迎する。

宗教的信念の場合に典型的に見られるように、人々は、自分の立場が固定されていると、その立場にあっているかどうかだけで発言の価値を判断し、異質の発言を認めない。だから、「どちらの立場か」という発言のレッテル貼りに熱中し、「敵」とみなした者を全力で貶め、排除しようとする。

しかし、放射能の影響が大きいかどうかを「どちらの立場か?」という敵味方の分類についての話題に転換するのでは、議論して立場が変わりうる可能性を認めないことになる。こういう人にはいくら話しても無駄だ。むしろ、排除するとか無視するとか、政治的対応を考えねばならない。議論を無視する者は、議論から無視されるのである。

相対主義はコミュニケーションを奪う

・・・学生たちと何を議論していても、たいていだれかが「私はこう思うけれど、人それぞれ、いろいろな考えがあると思うし、それでいい」という趣旨の意見を述べ、そのとたん、議論が成り立たなくなる・・・。「人それぞれ」で「何でもあり」となれば、社会問題の大半が個人の好みと選択の問題に矮小化されてしまう。
(朝日新聞二000年七月十一日付、小笠原裕子「『何でもあり個人主義』の退廃」)

このような主張を相対主義という。「人それぞれ、いろいろな考えがある」のだから、そこに優劣をつけても仕方ない。それぞれの人格が人格というだけで無条件に尊重されるように、それぞれの意見は意見であるというだけで、無条件に尊重される。
かなり前の文章だから、大学の雰囲気はだいぶ違っているかもしれないが、こういう主張をしたがる人は今でも少なくない。

しかし、「人それぞれ、いろいろな考えがある」から、優劣を否定する結論に飛びつくのは即断に過ぎる。たしかに、意見を言うこと自体は同じように尊重されるべきだが、考えている内容までも平等だとは限らないからだ。未熟な思考も効果が期待できないアイディアも世の中には存在する。むしろ、そういう優劣を明確化しないと、足をすくわれるという場合の方が多いだろう。

・小学生にアピールするとは?

“小学生に「勉強なんて何の役にたつの⁈」と聞かれたら、どう「勉強は役に立つ」と説得したらいいだろうか?”

(中略)
とすれば、学校で習っている「単調で面白くない」算数・国語・社会のイメージを、この児童が待っている実社会の「刺激的で面白い」イメージに直接つなげればいい。現実の問題を解決する実用的なスキルとして、学校の教科を意味づける。そうすれば、勉強が役立つことが実感できるだろう。たとえば「振り込め詐欺」に引っかけて次のように論じるとか。

「なぜなら、実社会には、あなたを騙してお金を取ろうとする人がたくさんいるからです。(理由)
そういう人を信用して、意味も分からないまま書類にサインしたり、印鑑を渡したりすると、お金を取られて酷い目に会う。
だまされないためには、相手の言葉をすばやく理解し、すぐに計算ができて、常識的に考えておかしくないかどうか、ちゃんと判断できなければね。つまり、国語と算数と社会ができなきゃいけないわけ(説明)。
振り込め詐欺でも、よく考えないまま大金を振り込むんじゃなく、電話だけで大丈夫かな、息子に直接確認してみよう、ととっさに考えられればいいのです(例示)。
そのとき役立つのが勉強。頑張ろうね!(結論)」

チェックするポイント

結局、ここまでで明らかになったのは、議論(argument)の信頼性については、要素に分けて十分にチェックすべきだ、ということだ。議論は、世界のどこでも普遍的に使用される構造を持つ。
それは、[問題]→[解決]→[根拠]という三段構造だ。
(中略)
したがって、信頼性を確認するには、この構造をいちいち吟味していくべきだ。

たとえば
①問題は意味のあるものであるか?
②解決はクリアか?
③理由はきちんと挙げられているか?
④理由の言い換え=論理展開に傷はないか?
⑤例示・データは適切に挙げられているか?

などである。

・データを操作する手法

(中略)
つまり、この横浜市・福岡市は「待機児童」の定義をわざと狭めて、「待機児童」の存在を見えなくなるような統計操作を行っている、と考えられる。
(中略)
「待機児童ゼロ」という目標を、自治体の長が選挙公約などで言い立てる。
それを実現させるためには、本来、より多くの保育士を確保し、保育所も増やさねばならない。
しかし、そのためには時間と予算がかかる。そんな余裕はない。

そこで、現場では「待機児童ゼロ」という目標を表面的に達成するために、あらゆる手段をとって「待機児童ゼロ」という数字を出そうと試みる。
保育士に入れない子供たちが存在する現実自体は変えられないのなら、それを「待機児童」と名づけなければよい。
そうすれば「待機児童」は必然的に存在しなくなる。

感想

相対主義がコミュニケーションを奪うというのは、ハッとさせられた。

「人それぞれ、いろいろな考えがある」

しょっちゅう使っている。
日本人はこういう白黒つけない中立的な言葉が好きなんだろうな。
(平和ボケ?)

だけど、これを言ってしまうと思考がそこでストップしてしまう。
これからは気をつけるようにしよう。

ポイントもあげきれないくらい、なるほどと思える箇所多数でした。
しかし後半にかけて一気に難しくなり、最後の方はちょっとしんどかった。

一度読んだだけじゃ本書に書かれてあるような議論の仕方は身につかない(少なくとも僕は)。

タイトルに「議論トレーニング」とあるように、トレーニングが必要だ。

読んだ後に気づいたけど、本書の著者は
いい文章には型がある (PHP新書)」と同じ吉岡友治氏だった。
以前読んだけどこの本も凄く良かった。

あと最近気になってた
シカゴ・スタイルに学ぶ論理的に考え、書く技術: 世界で通用する20の普遍的メソッド」も。

本書を読んでこの著者の本は全て読もうと決めました。
恐らくハズレはないと思います。
(責任は取れませんが)

私は「著者を信頼する」というのは読書においてかなり重要であると考えています。
ビジネス書や実用書に関しては特に。

吉岡先生これからよろしくお願いします。
って気分。

<再読レベル>
★★★★★

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kj

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読書,マラソン,サッカー,音楽を愛する2児のパパです

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